記事を書いていて、
- 既定の文字数に足りない
- 書くことがなくなった
- 埋まらない
ライターならこんな経験があるはずです。今回はその悩みの対処法をご紹介します。
初めて読む方のために書くと、私は全国紙で新聞記者を5年間していました。新聞は毎日記事を書き、毎日締め切りがありました。たまに文字が足りないと感じた時は今回の方法を使っていました。
目次
なぜ書くことがなくなるのか

Photo by AJ Garcia on Unsplash
しっかりインタビューしたはずなのに・・・と悩んでいるかもしれません。
文字数が足りなくなるのは次のような原因が考えられます。
- 文章を書くのが苦手(内容を削りすぎ)
- 話を詳しく聞けていなかった(内容が薄い)
- インタビューの時間があまりに短かった(量が足りない)
- 文字数に見合った内容じゃなかった(書くネタが少ない)
見ての通り、ほとんどは取材の内容が原因です。たっぷりの時間で深く話を聞いていれば、文字数が足りない事態は防ぐことができます。
もしインタビューや取材をこれからするのであれば、「実際に記事を書いたらどうなるか」を意識しながら聞いてみるといいと思います。コツは、
- とにかく相手に喋らせる
- 話しの内容を理解しながら聞く
相手のことがわからないとどうしようもないです。また内容を理解しないまま聞いていても記事を書くときに困ります。
理解できない、聞き取れなかった場合は「その場で確認する」ことが最も大事。そのままにしてしまうと話が盛り上がらなかったり、話しについていけなくなります。
「理解できなかった部分があるので、かみ砕いて教えてください」
「読者にわかりやすく伝えたいが、どう書けばいいですか」
こう聞いておくと、相手が解説してくれます。自分が理解できるうえに、書き方もわかるので一石二鳥です。
安易な文字稼ぎは逆効果
クラウドソーシングサイトを見ると、「過度な文字数稼ぎはNG」という表現をよく見かけます。これはコピペなど同じく、ライターの禁止行為事項の一つです。
悪質な文字稼ぎとは、
- 不自然な繰り返しの文章
- 本文と関係のない(あまりに少ない)例文を挟みすぎている
- 言い回し、引用が長すぎる
こういったものを指します。これらは中身がない上に読み手に不快な印象を与えます。受注した記事であれば、文字稼ぎしていることが依頼主に簡単にバレます。校正が入ると文字数が激減するでしょう。
言い回しや引用で文字数を増やすテクニックもありますが、やりすぎはNG。ただのコピペ記事になったり、何の記事なのかわからなくなってしまいます。
文字数にこだわるあまり、自分自身の信用を落としてしまいます。
文字数が足りない時の対処法

方法①一つの話を大きく膨らませる
いま書いている文章を読み返して見てください。
それだけで読者は理解できますか?
「話を膨らませる」のは文字稼ぎではありません。中身があるからです。
以下のような工夫を加えると文字数が稼げるだけでなく、わかりやすい文章にすることができますよ。
データを盛り込む
話で触れた内容をデータで補う方法です。相手が話した内容だけを書くと主観ばかりになってしまうので、客観的なデータを補うと文章のバランスもとれます。
- 台湾は6月に雨がたくさん降る。
- 台湾の6月は雨季なので、一カ月あたりの降水量は322mmと東京の約2倍にあたる。
①の文章はそのまま書き、②の文章はデータを加えました。②の方が文字数が多いだけでなく、読者もイメージしやすい文章になります。
こういったデータはネットなどで調べると簡単に探すことができます。記事の信ぴょう性を高める裏付け資料になるのでおすすめです。
見出しを増やす
小手先のテクニックのようですが、試してみるとわかるはず。
新聞だろうとウェブだろうと、記事は見出しに分かれ、その下に文章がぶら下がっています。文章を一度分解してみて、それをさらに多くの見出しに分けてみましょう。
見出しがあると、それについて書くことが絶対あるので、文章の全体量は間違いなく増えます。見出しが多い方が文章の構成もわかりやすくなります。
「」(カギカッコ)を使う
インタビュー記事のときに特に有効です。相手が話した言葉をそのまま「」(カギカッコ)で入れてしまいます。文章でそのまま書いてしまうよりも話し手の思いが伝わるのでリアリティーがあります。
方法②情景描写を入れる
インタビューや取材は音声だけがネタじゃありません。
その場で見たもの、聴いたもの、匂ったもの、触ったものなど五感を使って書きましょう。
- 場所の雰囲気
- 作業場の狭さ
- 温泉の味
- 店を開けたときの匂い
- (インタビューなら)相手の口調
こうした情報は取材した人にしかわからず、読者にも役に立ちます。あまり話を聞けなかったと落ち込む前にインタビューの様子を思い出してみましょう。
狭いなら「座ると横の人と方がぶつかるくらい狭い」、温泉の味がしないなら「なめてみたが無味無臭だった」、街から離れた場所にあるなら「△△駅から車で30分ほど離れたところにあり、周りに民家どころか自動販売機も見当たらない」などなど・・・
あなたにとって当たり前の情報でも、読み手が欲しい情報かもしれません。
取材相手の様子を詳しく書くことも大切です。
- □□社長の夢は日本一の工場に成長させることだ。
- □□社長は「この会社を日本一の工場にさせる。この夢は追い続ける」と熱っぽく話した。
②は前項で紹介した「」(カギカッコ)を使うテクニックと合わせてみました。単調な文章より、その場の情景が伝わるような記事の方が読んで楽しいですし、文字も多くなります。
方法③わかりやすい言い回しに書き直す
- 専門用語をを使いすぎていないか
- 漢字ばかりの文章になっていないか
書き手の性格にもよりますが、難しい内容になればなるほどこの傾向がでてきます。こうした記事は文字数も減るし、読みづらいので損です。学者の本が読みづらいのはほとんどがこのせいだと思います。専門用語・熟語は短い文字で意味が伝わりやすいですが、読み手にとっては良いものとはいえません。
難しい専門用語は理由がなければ書き直しましょう。インタビュー相手に聞いたり、ネットで調べると別の言い方があるはずです。
また、伝えるのが難しい文言は例え話を使うのも有効です。
- 東京ドーム〇個分の広さ
- レモン×個分のビタミンC
- 当時の1円は現在の◆◆円にあたる
こういう比喩表現はよく見ると思います。見慣れない数字や言葉も、親しみのある表現で例えてみると読者にも優しいです。
「文字数を稼ぐために漢字を全く使わない」のも問題ですが、使いすぎも問題です。漢字が続きすぎるとお経のような見た目になるのでバランスを考えましょう。
まとめ:最後の手段は「追加で聞き直す」

以上になります。
これらを試しても足りない・・・という方は諦めてもう一度話を聞きに行きましょう。あまりにネタが足りない場合は文字数にも限界があります。
相手も話した内容を忘れてしまうので、早めに聞く方がいいです。電話で聞く場合は「先日はありがとうございました。インタビューの内容を追加で聞きたい(確認したいのですが)、、」と切り出すと、余程のことがない限り断られないと思います。
文字数も大事ですが、その先に読者がいるということをお忘れなく。