今回は具体的なインタビュー方法を解説します。
- インタビュー中に沈黙が多い
- 盛り上がらない
- インタビュー後に「質問が足りなかった」と後悔する
- 記事がうまくまとまらない
こういう方にぴったりです。
私は新聞記者だったので、有名人や社長などに何百回もインタビューをしてきました。その経験で培った技術を公開します。
目次
インタビューに行く前に/準備は万全ですか?

事前準備はやりましたか?
私は先輩からインタビューは「準備が8割」と言われていました。それくらい当日までの準備が大事です。
- 当日までの段取り
- 質問を用意
- 記事の構成
- 持ち物
こうした所に大事なポイントがあります。少し工夫するだけでかなりインタビューが楽になるはずです。その辺りは「インタビュー取材の準備・進め方」に詳しくまとめているのでご覧ください。
インタビューの進め方

時間を意識する
インタビューには制限時間があります。多くの場合、1時間~1時間半くらいでしょうか。相手には予定があり、自分も余計な時間を消費してしまいます。「質問が足りなかったので再度インタビューを」ということになると、相手もがっかりするでしょう。
雑談はほどほどに、記事になることだけを聞きましょう。
「インタビュー取材の準備・進め方」で書きましたが、
- 相手のことを調べておく
- 質問を考えておく
- 記事の構成を想定しておく
これらが大切です。雑談で盛り上がりすぎないように気を付けます。時計を見過ぎるのもよくないですが、全く見ないのは論外です。
時間通りに終わるためには、事前に「最悪の場合はこの方向で」という記事を想定しておきます。どうしてもいい内容がない場合は早めに見切りをつけ、想定していた内容に切り替えましょう。
思いがけない回答こそチャンス
インタビューでは相手が「思いがけない答えをしないか」に注目しましょう。
思いがけない回答こそが、面白い記事を書くチャンスだからです。
事前に相手のことを調べていると、「この質問にはこんな回答をするだろうな」というのが大体わかってきます。慣れてくると、インタビューをする前から「こういう記事を書けそう」という感覚になります。
結論ありきの記事はインタビューしなくても書けるし面白くありません。また、事前に想像したストーリーなので間違った内容にもつながってしまいます。あくまでインタビューで聞いた内容を重視するのが大切です。
インタビューの目的を伝える
双方に誤解があればインタビューは思いがけない方向に進みます。インタビューの目的は丁寧に伝えましょう。
- 掲載するメディアについて(内容、主な読者層、何人くらいに読まれるのかなど)
- 何を聞きたいのか
- なぜインタビュー先に選ばれたのか
少なくともこれらはインタビューの冒頭で説明するべきです。相手はこちらのメディアを知らないことがほとんどです。もしも何かの特集記事なら「〇〇県の老舗企業を紹介している特集で、長く続いている理由を調べています」などと伝えます。これなら話題が逸れることも減りますし、気の利いた人ならそれを考慮したエピソードを話してくれるはずです。
もし掲載する冊子が決まっているなら、バックナンバーを持ってきて「こんな記事にする予定です」と伝えると簡単です。インタビューの途中でも、誤解を感じたら早めに切り出しましょう。
興味を持って聞く
地味に大事なテクニックです。
相手は人間。めんどくさそうに座っている人と話すのは嫌ですよね?その心理を逆に利用しましょう。インタビューは「相手に気持ちよく話してもらうのが大切」です。事前にたくさん調べて、相手に興味を持ちましょう。
興味を持って聞くことができないという人もいますが、たった1時間程度のインタビューです。
- 笑顔を絶やさない
- 矢継ぎ早に質問する
- 椅子は浅めに座る(背もたれを使わない)
- 感心したふりをしながらノートに書く
私はこうしたポイントを意識していました。仕事だと割り切れば誰でもできることです。あまりに基本的なことを知らないと興味がないと誤解されることもあるので気を付けてください。
要点はメモする
聞く、質問する、考える。これらをインタビューの初心者が両立させるのは難しいです。なので、慣れないうちは要点だけをメモしましょう。
メモを取るだけで次のようなメリットがあります。
- インタビュー中の回答を忘れず、それを踏まえて質問できるので深い質問ができる
- 録音した音声を聞き直す必要がないので、記事を早く書ける
- メモを見せながら確認できるので間違いが減る
- 後で見返すのが楽
メモを取らない場合も「書く手間が省けるのでインタビューに集中できる」「相手の目を見て話を聞ける」などのメリットがありますが、インタビューの質を上げようと思ったらメモを取る方がいいです。
要点だけメモを取るなら負担も少ないので、「メモを取る」「メモを取らない」のイイ所どりができます。
質問(オープン・クローズド)を使い分ける
質問は大きく分けて「オープン・クエスチョン」と「クローズド・クエスチョン」の2つがあります。
「オープン・クエスチョン」は相手に自由に答えてもらう質問。「新しい元号についてどう思いますか?」「記事の反響はどうでしたか?」などが当てはまります。
一方の「クローズド・クエスチョン」は範囲が限定された質問です。「犬と猫、どっちが好きですか?」「北海道に行ったことはありますか?」などのことを指します。
インタビューでの使い方
例えば、ベストセラーを生み出した会社のインタビューです。こんな感じで使い分けます。
私「この新製品は誰のアイデアですか?」(クローズド)
相手「社員です」
私「どうやったらこんな発想が生まれるんですか?社内で工夫している?」(オープン)
相手「実は毎朝、社員同士でミーティングを開いていてね・・・」
私「他の製品も同じ過程で生まれたのですか?」(クローズド)
相手「そうです」
私「ミーティング方法はどんな感じですか?」(オープン)
このように、深い話が聞けるのは「オープン」ですが、相手が答えやすいのは「クローズド」です。順番を気にする必要はありませんが、会話が温まっていない時はクローズド・クエスチョンから始めるとスムーズです。
これらを意識すると沈黙することはかなり減るはずです。
事実関係を間違えないように確認する/6W2Hを意識して
記事は事実確認が第一です。「質問が足りなかった」「記事がまとまらない」と感じる原因はここにあると思います。
6Wは、When(いつ)、Where(どこで)Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、Which(どちらが)。2HはHow(どうやって)、Howmany(どれくらい)です。
インタビューのエピソードは、時間軸が行ったり来たりします。順番や事実を間違えないように、しっかりと確認することが大切です。
例えば「俺は高校を卒業してすぐ会社を作ってね・・・」と言われたら
- どこで?
- 起業した年月日
- 起業当時の年齢(生年月日も)
- 今の会社と同じなのか
- 1人で起業した?
- なぜ起業することになったのか
確認しなきゃいけないことはたくさんあります。よくよく聞いてみると「高校卒業して2年後だった」「会社じゃなくて個人事業だった」という場合もあります。インタビューは相手が記憶で話すので、勘違いはいくらでもあります。しかし、一つ一つをちゃんと確認することで防ぐことはできます。
特に会社名などの固有名詞は正しい言い方が決まっているので注意が必要です。
高齢の方の場合、年齢を数え年で伝える人もいます。年齢の間違いは特に失礼にあたるので生年月日から確認する方がいいです。
資料はできるだけもらう
確認に一番役立つのは、紙の資料です。会社のパンフレットがある場合はどんどんもらいましょう。数字や固有名詞はこれで確認すると間違いがありません。
しかし、たまにインタビューの内容とパンフレットの内容が違う場合があります。その場合は本人に確認しましょう。
相手の話が止まらないとき
インタビューに関係のない内容を相手が延々と話している・・・
誰もが経験したことがあると思います。インタビューが盛り上がりすぎたときなどはこうなります。インタビューできる時間が減るだけなので、できるだけ早く会話をこちら側に戻す必要があります。私は、
- 「だから、〇〇をしたんですね」と自然な形で本来の話題に戻す
- 「わかりやすく説明していただき、ありがとうございます」と一旦話を打ち切る
- お茶を飲む、時計を見る
- 「ごめんなさい、インタビューの時間が限られていますので・・」と正直に打ち明ける
このように対処していました。少し決まづいですが、話し込んでしまうとお互いに損です。これを上手くできるのがインタビュー巧者だと思います。
まとめ:ほとんどが準備次第で乗り切れる

以上になります。
読んでいただいてわかると思いますが、ほとんどは事前準備で乗り切れます。インタビューはやればやるだけ上達すると思うので、挑戦しつづけることが大事だと思います。